ゴー宣DOJO

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切通理作
2014.5.31 23:21

無知の責任という問題

こちらのブログに書かせていただいた先日の記事「PC遠隔操作事件は本当に解決したのか?」に対して、道場門弟の方から以下の感想を頂きました。

 

「無知であることが、そのままの意味で罪になる時代が来たのだな、ということです。

ネットを利用している以上、こうした犯罪に巻き込まれる可能性がある。

そのとき何も知らないと、適切な対応ができない。

対応するためには、ITの技術的な知識や、警察組織の実態なども、ある程度知らなければならない。

今回の事件は、その問題提起となりました。

この事件後、尚も無関心でいるなら、自分が罪を着せられたときに、純粋な被害者面はできません。

無知でいた自分の責任も問われるでしょう。」

 

そしてこの人は、以下のようにも書いています。

PC遠隔操作事件でも集団的自衛権の問題でも何でも、ただ受け取るだけの人間では駄目ですね。

それが結局、自分への実害となって返ってきます。」

 

 ここには、両義的な問題が含まれていると思います。

 個人が社会に関心を持っていないと、いざ自分に火の粉が降りかかった時に、その人は純粋な被害者とは言えないという点。

 そして、本来なら、普通に暮らしているだけで、人々の生活が守られるべきであり、やはり公的秩序が信頼するに足るものであるべきなのではないかという点。

 

 おりしも、安倍首相「イラク戦争は証明出来なかったイラクが悪い」という趣旨の発言を国会でして、話題になっています。

 

 イラクは短期間ではぎりぎり最大限の調査報告を行っており、しかしアメリカが無理難題を言ってそれを無効にしたということは、小林よしのりさんもゴー宣で書かれていたのを記憶している人は多いと思います。

 

僕などはむしろ、その時のゴー宣を読んで、保守に目覚めたと言っていいぐらいなんですが。

つまり、日本がアメリカと開戦せざるを得なかった事情にも、実は通じるものがあったのでは・・・・・と思えるようになったのです。

 

しかし「戦後レジームからの脱却」と言いながら、その肝心のところをごまかしている安倍政権の進める集団的自衛権。

現代日本人の多くがそれを鵜呑みにしているとしたら、その「無知」は、未来の悲劇に対して被害者面できない大きな理由となることでしょう。

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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